君の世界からわたしが消えても。

 今までのわたしたちの関係性、それは、単なる友達でしかなくて。


 だからこそ、“友達だから”っていう理由でバレンタインにチョコをあげることができていた。


 その中にカナを好きだっていう気持ちを込めて、それを悟られずに渡して。


 だから、受け取ってもらえていた。


 それはきっと、ミヅキも同じだったと思う。


 恋愛感情が絡まないからこそ、わたしたち4人は一緒にいることができていたんだと思っていたから。


 現にカナは普通にモテるし、見た目から敬遠されがちなイチもカナには及ばないけれど好意を寄せている女の子がいないわけじゃなかった。


 そんなわたしたちが長い間一緒にいられたのは、“友達として”お互い大事に思っていたから。


 ……わたしは随分前から、カナとミヅキがお互いのことを想い合っているって知っていた。


 当然、自分の恋が実らないことも。


 だから、カナがもしミヅキの気持ちに気付いていたとしても、カナがそのチョコを受け取ることは承知済みだった。


 わたしの気持ちがばれた時はどうなのかわからないけど、それだけはわかっていた。

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