君の世界からわたしが消えても。
「美月、葉月もお返しなにがいいか考えておけよー!」
カナが、わたしの名前を呼んでいる。
だけど、いつだって最初にミヅキの名前を呼ぶ。
わたしの名前を呼ぶ時とは違う、甘く優しさをはらんだ声で。
カナのことが好きで、よく見て、声を聞いていたからこそわかる、些細な違い。
傍にいると、気付きたくないことにまで気付いてしまう。
さっきまでわたしの隣を歩いていたミヅキは、わたしの少し先をカナと肩を並べて歩いている。
……わたしは、ぽつんとひとり。
その姿を見下ろして、ひどく寂しそうだと思った。
自分のことなのに、どこか他人事のように。
そっと手を繋ぎ、仲よさそうに歩くカナとミヅキ。
そんなの、もう何度も見てきたはずの光景。
だけど、見るたびに泣きたくなる。