君の世界からわたしが消えても。

 バレンタインの買い出しに限らず、わたしたちはいつも一緒だった。


 ミヅキと相談して買い物に行く日をカナとイチに内緒で決めても、なぜかばれちゃうこと。


 ねえ、わたしはその理由を知ってたよ、ミヅキ。


 カナはね、誰よりもミヅキのことを見てて、双子のわたしよりも先にミヅキの変化に気付いちゃうくらい、よく見てくれてたんだよ。


 カナは、ミヅキのもっと近くにいたかったんだよ。


 4人じゃなくて、ミヅキとふたりだけで過ごしたい日もあったんだよ。


 ……だけど、わたしはずるいから、それに気付いていたのに言わなかった。


 バレンタインにわたしたちがふたりにチョコを渡すたび、カナとイチもそのお礼にお菓子や可愛い小物なんかをくれたりする。


 本当はミヅキとふたりだけで買い物に行きたいけど、毎年毎年、このふたりは揃ってついてくる。


 『ホワイトデーでわたしたちに渡す、お返しのプレゼントの下見』というもっともらしい理由をつけて。


 カナはきっと、片時も離れたくないくらい、ミヅキが好きなんだよ。


 ……今も、ずっと。

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