君の世界からわたしが消えても。
今の今になって、この時のわたしとイチの抱える気持ちは同じだったんだと気付く。
だって、好きな子と親友が付き合い始めたんだから。
……わたしと同じで、イチだって苦しかったはず。
カナを好きだっていう持て余した気持ちは誰にも打ち明けられなかったけど、わたしの隣にはいつだってイチがいた。
心が読めるかのように、わたしが悲しい時はなにも言わずにただ傍にいてくれた。
それに安心して、甘えていた。
大事な血を分けた双子の姉が、自分の好きな人に想いを寄せて、付き合って。
叶わないとわかっていても、諦めきれないもどかしい気持ちがあって……。
だけど、イチが一緒にいてくれている時間、わたしの心はいくらか軽かった。
背負った荷物を彼に全て預けてしまったような、身体が楽になるような感覚。
……だけど、この時イチはどうだったんだろう。
同じ失恋の痛みを味わっていたのに、その苦しさをわたしの分まで、ひとりきりで抱えていたのかな。