君の世界からわたしが消えても。
体温で生温くなった銀色のそれを首にかけようとしたところで、なぜかミヅキのペンダントから白い紙がはみ出しているのに気付いた。
「あれ、なんで……?」
ミヅキのお骨が入った真っ白なそれが、ペンダントの間に軽く挟まって、顔を覗かせていた。
今までペンダントを開いたのはこれを中に入れるためだけで、ミヅキの葬儀以来一度も開いたことがなかったのに。
不思議に思いつつ、長らく開けなかったそのペンダントを開け、白い紙に包まれているミヅキを中に戻してカチリと閉じた。
なんだか力が抜けて、体はベッドに逆戻り。
……すごく、泣きたくなった。
無性に、ミヅキに会いたくなった。
わたしを知っているカナに、優しいイチに、会いたくなった。
視界は涙でだんだん歪んでいって、零れる前に眉間に力を込めた。
そっと目元に触れると、睫毛はすでにしっとりと冷たく濡れていた。
暗い瞼の裏側に、さっきの夢が浮かび上がってくる。
「いつから気付いてたんだろう……」
今考えるべきことはそれじゃないのに、もし最初に出会ったのがイチだったら彼を好きになっていたのかな、なんて最低な考えが頭を過ぎる。
そんな自分が嫌になって、それを忘れるかのように頭を振り、わたしは今日1日のことを想像してため息を溢した。
……夢から覚める直前に聞こえた、ミヅキの声。
なにを言おうとしたのか気になっていたはずだったのに、そのことはすっかり頭から抜け落ちていた。