君の世界からわたしが消えても。

 小学校1年生、入学当初のわけのわからない決まり事。


 “おともだちは、なまえでよぶこと”


 今ならわかるけど、これはクラスが少しでも仲良くなるようにと、先生がわたしたちに与えた決まり事だった。


 それが、嫌で嫌でしょうがなかった。


 だって、わたしたちのことをちゃんと名前で呼んでくれる人なんて、いるわけないって思っていたから。


 ……でも、違った。


 ちゃんといた。


 カナとイチ。


 この時からわたしたちは友達で、毎日一緒に遊んで、中学に上がる頃には親友になっていた。


 高校2年生になったわたしが立つ、大きな桜の木がそびえるこの丘は、わたしたち4人が小学生から中学3年生の終わりまで一番よく来ていた場所。


 4人で見つけた、秘密の丘。


 これから先、変わることのない思い出の場所。


 ここに来ると、4人で作ったいろんな思い出が瞬時に思い出される。

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