君の世界からわたしが消えても。
「懐かしいなあ……」
ここには、いつかのわたしたちがいる。
だから、わたしはここに足を運ぶ。
でも、同時につらいことも思い出す。
過ぎた日々は戻っては来ない。
知ってるよ、わかってるよ。
でもね、わかりたくなんてないんだ。
“今”を生きてるわたしは思う。
『あの時に戻れたら』って。
『楽しかった日常に戻れたら』って。
過去に戻って救いたいって、何度も何度も思うよ。
今を生きていない、ミヅキとカナ。
ふたりがいる世界に戻れたら、って。
……ねえ、どうしてこんなことになっちゃったのかな?
これから先もずっと一緒だって、そう思ってた。
くだらないことで笑い合って、時にはケンカもして。
平凡な毎日を、ただ幸せに過ごして。
それだけでいいって、思ってた。
それなのに……。
突然訪れた悲劇。
それはひどく、残酷だったね。