君の世界からわたしが消えても。
03 祈り
時の流れは、はやい。
あっという間に季節は移り変わり、夏になった。
強い太陽の日差しがさんさんと降り注ぐ、お昼時。
わたしは薄いピンクがかった墓石の前に立っていた。
周りには誰もいない。
木々がざわざわと揺れる音がするだけ。
ただわたしだけが、ここにいる。
「ミヅキ、ここで話すのは1年ぶりだね」
胸元で揺れる三日月の存在を確かめ、笑みを浮かべて語りかけた。
「17歳の誕生日、おめでとう」
わたしの腕の中には、溢れんばかりのひまわりの花。
ミヅキが大好きだった花。
大切で大好きな彼女が眠る可愛い墓石にそれを供え、ゆっくりと手を合わせて目を閉じた。
今日は、8月19日。
……わたしとミヅキの誕生日。