君の世界からわたしが消えても。
10 記憶
――『無理するなよ』、『大丈夫か』。
つらそうに、苦しそうに吐き出された言葉。
いつ、どういう時に言われたのかは忘れてしまったけど、イチからそんな言葉を貰ったことがある。
今までに、何度も。
数え切れないくらいに。
その度にわたしは、「なんでそんなことを言うの?」って不思議に思ってた。
……だけど、今ならわかるよ。
それは、きっと全部、わたしのためだった――。