君の世界からわたしが消えても。
……わたしは、神様に恨まれているのかもしれない。
まるで、不純な動機でカナに嘘をついたことへの、罰みたいだ。
それとも、ミヅキのペンダントを相変わらず渡せていないわたしへの、最後の忠告なのかな。
そんなふうに思えるくらい、わたしの身の回りでは目まぐるしいほどに物事が進んでいく。
穏やかな気持ちでいられたのは、一瞬だけ。
――不安定な気持ちを抱えたまま、カナが目を覚ましてから10日目の今日、カナが退院する日を迎えた。
「これで全部か」
少ない荷物をバッグに詰め込み、腰に手を当てて満足そうに言うカナは、一週間前とは別人のように見えた。
……ううん、ミヅキがいた頃のカナと同じ人が、目の前にいる。
何事もなかったかのように、今までのことが全部夢だったかのように、そこに立っている。