君の世界からわたしが消えても。
ミヅキが亡くなってから、2回目の誕生日。
去年の今日は、まだ現実を受け入れられなくてお祝いなんてムードじゃなかった。
だけど、あの日からもう1年半経った今、心はもういくらか落ち着いていた。
ふっと息をついて、まずは近況報告をする。
「久しぶりだね、ミヅキ。あっちで元気にやってる? あの日から1年半経って、お母さんもお父さんも、やっと前みたいに笑うようになったよ」
わたしの家の中の空気は、ここ最近になってやっと以前のものへと戻り始めた。
ミヅキがいた、前は当たり前だった光景に。
それでもね、ミヅキのいた場所は埋まることがないんだ。
食卓の空席、空っぽのミヅキの部屋。
家のいたる所に、ミヅキの定位置だった場所に、空白がある。
それに、お母さんやお父さんは、わたしの顔を見るとすごく悲しそうな顔をするんだ。
わたしとミヅキは似ていたから、まだこっちの世界にミヅキがいるって錯覚しちゃうんだろうね。
それがすごく悲しい。
こんな気持ち、ミヅキに気付かれちゃいけないね。
きっと、心配するもん。
だから、口に出して言えないことを、心の中でそっと呟いた。