君の世界からわたしが消えても。
周りに迷惑かけて、イチに怒られちゃうだろうな。
なんて思いながらその言葉を待つけれど、イチはなかなか口を開かなかった。
わたしと一緒にただ座って、景色を眺めているだけだ。
……なんだか、拍子抜け。
絶対、怒られると思ったのに。
家に連れ戻されるって思ったのに。
無駄な心配をしたみたい。
イチがなにも言わないのに少しだけホッとして、知らず知らずのうちに入っていた肩の力が抜けていく。
だけど、それはつかの間の休息というもので、大事なことを後回しにするのが嫌いなイチは、わたしに容赦なく鋭い質問を投げかけてきた。