君の世界からわたしが消えても。

「今日、なんで来なかったんだ」


 隣から発せられたその言葉に、肩がびくりと揺れた。


 静かな夜の音がこだます中、場違いなほどに大きく聞こえたイチの問いかけは、すでにボロボロになっている心に深い傷を与えた。


 ……今日、わたしは学校に行かなかった。


 ううん、行けなかったんだ。


 どうしても、身体が動いてくれなくて。


 誰にも会いたくなくて。


 つまらなくても、行きたくなくても、毎日行っていたのに。


 今日は休む特別な理由もなかったのに、行かなかったんだ。


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