君の世界からわたしが消えても。

 カナは、ミヅキがいなくなった日から、ベッドの上でずっと眠り続けている。


 きっと、ショックが大きすぎたんだと思う。


 それもそうだよね。


 カナは目の前で、世界で一番大切な人を失ったんだから……。


 中学3年生の終わり、卒業式間際の3月5日。


 悲劇は、この日に起こった。


 わたしとミヅキの案で、卒業記念パーティーを開くことになり、そのための買い出しに4人で近くの大きなショッピングモールに出かけた時のことだった。


 わたしの少し前には手を繋いだミヅキとカナ、わたしとイチはその後ろで話しながら歩いていた。


 外はまだ寒くて、溶け残りの雪が道の端に点々とあった。


 その雪を見つけては足跡をつけに行くミヅキの後ろ姿を覚えている。


 それを楽しそうに見つめるカナの眼差しも。


 イベントが大好きなわたしとミヅキ、それに巻き込まれるカナとイチ。


 カナは毎回乗り気だったけど、普段そこまでテンションの高くないイチは、面倒臭そうな顔をしてた。


 それでもちゃんと付き合ってくれるんだけどね。


 イチは、優しいから。


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