君の世界からわたしが消えても。

 ショッピングモールでは、盛り上げる用のクラッカーや変装グッズ、そこら辺のスーパーには売っていない変わったお菓子なんかを買った。


 小物をたくさん買ったから荷物がかさばって大変だったけど、カナとイチが持ってくれた。


 途中、ミヅキがカナに内緒でプレゼントを買いたいって言うから、女子と男子で分かれて買い物をした。


 カナとは進学する高校が違うから、女の子除けになりそうなアクセサリーが欲しいと言ったミヅキ。


 中学1年の夏、わたしが背中を押したことで付き合うことになったミヅキとカナ。


 失恋してからだいぶ経つのに、ミヅキのその言葉はわたしの胸をちくりと刺した。


 “カナはわたしの恋人だよ”


 そう、主張されたみたいで……。


 恥ずかしそうに可愛く笑う恋するミヅキは、容姿が同じはずのわたしなんかとは別物みたいに思えた。


 悩みに悩んで選んだミヅキからカナへのプレゼントは、ペンダントだった。


 三日月を縁取った、ロケット式のペンダント。


 まるでミヅキそのものを表したかのようなソレに、わたしはどうしようもなく苦しくなった。


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