君の世界からわたしが消えても。
だから、聞かせてほしい。
これからどうしたいのか、葉月が本心で思っていることを。
美月の代わりとして生きた日々。
それは俺にとって短いのか長いのかわからない時間だけど、その間にどれだけのものを抱えていたのか、俺だけは知っていてやりたいって思う。
葉月の我慢に甘えて溜め込ませていたのは間違いなく俺自身だから、どの口がそんなこと言えんだよって思ったりもするけど。
でも、だからこそ、こうして今にも壊れそうな葉月を、もう放っとくことなんてできないって気付いたんだ。
「……葉月。もう、我慢するな」
細い葉月の肩を掴んでこっちを向かせた瞬間夜風が吹いて、葉月の長い髪が揺れた。
顔を上げさせて目を真っ直ぐ合わせれば、葉月は戸惑っているような色を瞳に浮かべたけど、すぐに安心したようにふわりと笑った。