君の世界からわたしが消えても。
「……なに言ってるの、イチ。わたしが消えるなんて、そんなことあるわけないでしょ。大丈夫だよ」
そう言って、葉月は口角を上げた。
だけど、口元が引きつっているのなんてバレバレだ。
それに、こいつの言う『大丈夫』ほど信用できないもんなんてない。
美月みたいに突然いなくなったり、奏汰みたいに突然俺のことを忘れたり。
今奏汰の隣に立つことで一杯になってるけど、つらい時、もうだめだと思った時。
こいつは俺にそういうことを話す前に突然消えそうだから、怖いんだ。
それに俺は、こいつが今抱えている不安やつらさを全部吐き出させてやれてるわけじゃない。
葉月がしたいと思っていることに、葉月の身体がちゃんとついていけるのか、心配だった。
大丈夫、なんて信じられるわけねーよ。