君の世界からわたしが消えても。
いろんなことを話して、いろんなことが決まって、卒業式が終わったらすぐに上京したいと言うわたしの願いを叶えてくれた両親には、本当に感謝してる。
わたしのわがままを全て叶えてくれた、大好きなお母さんとお父さん。
大切な、カナとイチ。
恋しくなる時ももちろんあるけれど、カナや自分のためにがんばりたいという決意はぶれなくて、みんなが背中を押してくれたからわたしは今こうして全力で生きていられているんだと思う。
両親とは高校卒業以来連絡はとっていないけど、わたしが今東京にいるということだけ知らせてある。
そして、イチはというと……。
「おい、ぼーっとしてんな。ほんとに遅れるぞ」
なぜか、今もこうしてわたしの隣にいてくれている。
高校卒業後は進路も違ったし、イチとはそれで終わりだと思っていたんだけど、運命か偶然なのか、それとも別のなにかなのか。
大学4年生の時、就職先にと決めた企業の内定式で偶然にも出会い、居所がばれたのだ。
ずっと会っていなかったし化粧もして髪型も変えていたけれど、内定式で通知書を受け取る際に名前を呼ばれて、その後の会食でイチに掴まったのだ。
逃げられるわけもなくて、逃げる理由もなくて、誰にもわたしの情報を与えないっていう条件付きで今も関わり合っている。
その後はあれよあれよという間に事が進んで、イチはわたしの住んでいるアパートの部屋の隣に地元の大学卒業後に引っ越してきて、今日もこうしてタダ飯を食いに来ているのだ。
……と、こうして当たり前のようにイチとの付き合いは続いている。
同棲しているとか、付き合っているとか、そういうことは一切ないのだけれど。