君の世界からわたしが消えても。

 肩が震えるけど、寒いのかそうじゃないのかなんて、わからない。


 唇も震えてて、なにか言いたいのに思うように動かなかった。


 そんなわたしを見かねて、イチは言った。


 小さくため息を吐きながら、優しい顔で。


 今までにないくらい、泣きそうな顔で。


「……まだ、好きなら。ずっと好きでいたんだったら。会ってやって、あいつに」


 中で待ってると、お前次第だと、イチはわたしの頭を撫でながらそう言った。


 ……突然すぎてなにがなんだかわかってないのに、イチはいつもこうだ。


 こうやって子供扱いして、そのくせすぐに答えを出すよう求めるところ、ほんと最低。


 でも、迷ってる時間なんていらないくらい、わたしは今すぐにでもそこに飛び込みたかった。


 カナに、会える。


 カナが、好き。


 カナがここにいる理由とか、イチがこんなことを言う理由とか、今までのこと全部どうでもよくなるくらいには、ずっとずっとカナに会いたかった。


 ……今日が絶対についてない日なんて、誰が言ったの。


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