君の世界からわたしが消えても。
なかなか涙は止まらなくて、嗚咽は漏れ続けた。
聞きたいこと、一杯あった。
けど質問なんかできなくて、代わりにイチとカナが先回りしていろいろ答えてくれた。
――高校を卒業してからのこと、全部。
イチはわたしのお願いを半分守ったけど、半分守らなかった、って。
それは、ミヅキの遺品は渡したけど、わたしが死んだなんて嘘はつかなかったってこと。
それが今日この日のために、イチが最後まで貫いたエゴなんだってことを知った。
……わたしが上京してしばらく経った頃、イチはカナに本当のことを少しずつ話したらしい。
わたしがミヅキじゃないことも、カナが忘れていることも。
カナが受け入れやすいように、わたしがしてきた努力を水の泡にしないように、って。
話そうとイチが決めたのは、この先カナの記憶が戻るかもしれない可能性を考えてのことだった、って。