君の世界からわたしが消えても。
おすすめのパンケーキとおすすめのコーヒーをおかわりし終わって、目が真っ赤になったわたしたちは、閉店間際の店内にまだ残っていた。
時間はもう、21時になりそう。
いろんなことを消化し終わり、最後に残った一口分のコーヒーを平和な気持ちでゆっくりすする。
そして、ふと疑問に思ったことを尋ねる。
なんだか目の前でそわそわしているカナと、呆れたような顔をしているイチに向かって。
「ねえ……、どうしてこのタイミングだったの?」
なんのつもりもなく、ただ不思議に思ったから聞いたこの言葉。
すっかり冷め切ったであろうコーヒーに口をつけたカナは途端に顔を真っ赤にさせてカップをひっくり返し、それを見た隣にいるイチも内心慌てていた……と思う。
「実は……」
溜めに溜めに溜めて言った、カナ。
この先の言葉を、誰が予想できただろう。
この後カナの口から語られる言葉にまた泣くことになるのは、もうすぐそこ。