君の世界からわたしが消えても。

「探させてごめん。今日は誕生日だから、お祝いに来たの」


「……そうか」


 ミヅキの眠るそこに目を向ければ、ひまわりの花が風にあたって揺れていた。


 隣に並んだイチは手を合わせ、目をつむった。


 横顔からは、なにを考えているのかわからない。


 イチはミヅキに、なにを言っているのかな……?


「なんだよ」


「えっ」


 探るようにイチの顔を見つめていると、閉じられていた目はゆっくりと開き、横目でじろりと睨まれた。


 もっと長い間ミヅキに語りかけると思っていたのに、予想が外れた。


 見てたの、思いっきりばれた。


「……短いね」


 気まずい思いを隠し、イチに言う。


「なにが」


 そんなわたしの心情を知ってか知らずか、ぶっきらぼうに喋るイチ。


 いつもそうだけど、今は特にそう強く感じる。


 見てたのがそんなに嫌だったかな。


 だけど、見たところ怒ってないし、気にしないことにする。


「なにって、ミヅキになにを言ったのかなって」


 あんなに短い時間で、ミヅキにどんなことを伝えたんだろうって気になった。



< 31 / 298 >

この作品をシェア

pagetop