君の世界からわたしが消えても。
04 選択
事故に遭った後、わたしが初めてカナを見たのは、ミヅキのお葬式が終わってから一週間後のことだった。
身内が亡くなったことのショック。
それに加えて、道路で真っ赤になって倒れていたミヅキの姿を自分に重ねてしまったことで、精神的に大ダメージを受けた。
まるで鏡のようだったわたしたち。
だからこそ、ミヅキがピクリとも動かないのを見て、まるで自分の死を見ているかのように錯覚した。
悲劇が起きてからしばらくの間、わたしは突然泣き出し、時折なにかに怯えるように震えていたらしい。
その時のことを、正直わたしはよく覚えていない。
相当な精神的ショックとストレスだと、お医者さんには言われたみたい。
そんなわたしがだんだんと落ち着きを取り戻したのは、イチのおかげだと思う。
彼は毎日家に来て、なにも言わずに傍にいてくれた。
イチがずっと寄り添っていてくれたことだけは、ぼんやりと覚えているから。
わたしの症状が落ち着いた頃、イチに言われた。
カナに会いに行かないか、って。
その時、手術室の前でお医者さんが言っていたことを思い出した。
『このまま目を覚まさすことがないかもしれない』という、想像したくない言葉を。