君の世界からわたしが消えても。

 いろいろなことが時間の経過とともに消化され始めて、カナの知らない間にきっとわたしも変わっている。


 今、目の前で瞼を閉じて眠りについてるカナを見て思う。


 目が覚めたカナは、以前のままの彼なのかということ。


 昨日の夜、考えたんだ。


 もし、カナが目覚めたとして、この世界にミヅキがいないことを知ってしまった時のことを。


 カナはその現実を、ちゃんと受け止めることができるのかな……、って。


 カナが眠りに落ちる前、最後に見たものはなんだったんだろう。


 知って、いるのかな。


 ミヅキがこの世界にいないことを……。


 夢の中をさまよい続けるカナの精神は、どうなっているんだろう。


 わたしはそれが、たまらなく不安だ。

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