君の世界からわたしが消えても。

 家までの道のりを歩きながら、ひとつ心に決めた。


 もしもカナが目覚めたその時は、なにも言わずにこのペンダントを彼に託そうと。


 ミヅキがいないことを知っていても知らなくても、これだけは必ずすぐに渡そう。


 これは、ミヅキのため。


 突然死を受け入れなければならなかったミヅキは、きっとこの世にやり残したことがたくさんあると思う。


 わたしが知っている彼女の望み。


 それは、このペンダントがカナの手に渡ること。


 ただ、それだけ。


 わたしがミヅキにしてあげられることは、悔しいけどそれしかないから。


 ミヅキもカナも、比べようがないくらいわたしにとって大切な人だ。


 だからこそ、決めたことだ。


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