君の世界からわたしが消えても。
おじいちゃん先生は、知っていた。
あの事故で亡くなったのが、わたしの双子の姉だっていうことを。
そして、カナとミヅキが恋人同士だったことにも、気付いていたみたいだった。
……わたしがカナに好意を寄せていることも、薄々ながらに感じ取っていたのかもしれない。
だからこそ先生はわたしを心配し、こうなってしまったことを後悔し、いろいろと思案するんだろう。
誰かの代わりになるということは、それだけ危険なことなんだ……。
考えれば考えるほど出てくる問題点に頭を抱えるけれど、もう後戻りできないところまで来てる。
とにかく今は、カナの中にある記憶がどんなものなのかを知らなければいけない。
そうしないと、最善策を見つけられないから。
……カナは、なにを覚えていてくれてるのかな。
心が折れそうなほどの未来への不安が、胸で渦巻いて苦しかった。