君の世界からわたしが消えても。
カナの言葉を聞いた先生は、廊下にいるカナのお母さんとイチを呼んだ。
中で話していたわたしたちの声は、ドアのすぐ近くにいた彼らにもちゃんと聞こえていたのだと、顔を見ればわかった。
……ショック、だよね。
わたしもそうだもん。
忘れられてしまうのって、こんなにもつらいんだね……。
病室に入ってくる緊張した面持ちのふたりに感化されて、わたしまで緊張する。
カナが横になっているベッドのすぐ傍に立った、カナのお母さんとイチ。
産みの親と、親友。
かけがえのない存在のはずなのに、距離のある接し方。
それを見て、カナとの間には確実な壁があるのだと感じた。