君の世界からわたしが消えても。

 長い間一緒に過ごしてきたミヅキが亡くなって、親友には忘れられて。


 すぐにそれを受け入れられるほど、イチだって強くない。


 同じくらい長い時を、日常を、一緒に過ごしてきたんだから……。


 なに食わぬ顔で、ずっとわたしの傍にいてくれたイチ。


 とっくに、ミヅキの死を受け入れたんだと勝手に思っていた。


 だけど、違うよね。


 わたしと同じなんだよね。


 わたしが泣くから、無理して笑うから。


 強いふりするのが得意な優しいイチは、無理して大人になってくれていたんだよね。


 つらかったのは誰もが一緒なのに、周りも見ず自分だけが傷ついてるなんて塞ぎ込んだわたしは、イチに無理をさせているとわかりながら、気付かないふりをして甘えてた。


 どれだけイチにつらい思いをさせてきたんだろう。


 わたしは、自分勝手で、子供だ。

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