君の世界からわたしが消えても。
わたしにとっても親友と呼べるイチ。
カナにそう言ってもらえたことで心が軽くなったのか、いくらか表情が和らいだ彼。
そんなイチを、わたしは羨ましく思うことしかできない。
だってわたしは、カナにそんなふうには言ってもらえないから……。
じっとカナを見つめていると、だんだん気分が落ちていく。
そんなわたしの心情に、気付いてくれている人はいるのかな。
……たぶん、いないよね。
みんながこの状況についていくので精一杯なんだから。
……カナの記憶が戻っても戻らなくても、“ミヅキに成り変わったわたし”の存在には、いつか限界がくる。
それは、カナが記憶を取り戻す時かもしれないし、わたしの心が壊れる瞬間かもしれない。
わからないけど、こうしてカナの一番近くにいられる時間には、限りがある。