君の隣で。
「萌乃、もう放課後だけど?」
低めの優しい声で私は目を開ける。
何と無くぼんやりとした思考のまま
ふああとあくびを一つ。
「また寝ちゃってたよ〜」
私がそういうと真也くんはクスッと笑う。
「学校は勉強する所でしょ」
マトモな意見に賛同しつつ私は数学のノートを移させてもらう。
無駄が無い見やすいノートの色使いも
真也くんらしい。
そっとノートの文字を指先でなぞって
私はシャーペンを走らせる。
真也くんは私が移している姿を
じっと見つめていた。
不意に見つめられたせいか
ドキドキとする心臓の音は私を緊張させていく。
「見にくかったらごめんな」
少しだけ目を細めた真也くんは少しバツが悪そうな顔をした。
「ううん、むしろ見やすいよ」
私は慌てて否定して真也くんを見つめる。
そういうと真也くんはにっこり笑ってくれた。
「それなら良かった」
嬉しそうにしている真也くんと話せているだけで幸せな気分になる。