【完】クールな君に胸キュン中!
「お前のおかげで助かったのは事実だから、礼を言う。ありがとう」
いきなりの桐谷くんの行動に、イッチーは驚いた表情を見せる。
「でも、ここから先は俺の役目だから」
背中越しに聞こえてくる、桐谷くんの意思強い声。
大きな広い背中から、温もりが伝わってくる。
「桐谷くん、ごめんね……」
「謝らなくていいから」
いまだに体が震えているけど、不謹慎なことに、心臓はドキドキと桐谷くんに反応している。
……甘えたい、なんて欲がでてきちゃって。
あたしは桐谷くんの肩に置いていた手を、スッと首に回した。
「……」
こんなに密着しても何も言ってこないあたりから、桐谷くんはやっぱり優しいんだと思う。
「あとちょっとだから、辛抱してね」
落ち着く声と、乗り心地の良い揺れに、あたしは抗うことも忘れて身を委ねていった――。