【完】クールな君に胸キュン中!
「どうしたのって……昨日、自分がしたこと覚えてないの?」
ふっと軽蔑した目で、俺は目の前の女を一瞥した。
「あんたが昨日、折原奈乃を閉じ込めたところに、偶然俺も資料を返してて居合わせたんだよね」
そう言うと、一瞬にして顔色を変える阿部。
マズイって、顔に書いてあるのがよくわかる。
「あいつに手、だすなよ」
自分でも驚くほど、冷めきった声が出てきた。
「だって……迷惑じゃない!
桐谷くんも鬱陶しいって思ってるでしょ!?」
だけど女は、俯きながらも言い返してくる。
「大きな声で桐谷くんの周りうろついて、たいして可愛くもないのに身の程知らずなのよ。
要領も悪いし、バカっぽいし?」
あぁ……こんなに人に怒りを覚えたのは、初めてかもしれない。
「だからさー、あんな子ほっといて、桐谷くんあたしと付き合おうよ」
「…………」
もう、話すのもバカバカしくなってきた。