【完】クールな君に胸キュン中!
それは、初耳のものばかりだった。
確かに桐谷くんはスタイルもいいし、部活をやっていてもおかしくないほど運動神経もいい。
でも、途中でやめたって……なんで?
「気になる? 桐谷のこと」
もったいぶるように、松岡くんはあたしに言う。
気にならないと言えば嘘になる。
けど。
「あたし、桐谷くんのことは全部自分で知りたいので」
それだけははっきりと言える。
他人の力を借りてまで、桐谷くんのことを詮索するつもりはない。
「そう。まぁ、俺も教える気はないけど」
「…………」
「たぶん、桐谷からは絶対に言わないよ。どれだけ待っていても」
待っていたら……でしょ?
なら、あたしから動けばいい。
昨日のピアスのことも、ときおり見せる悲しげな表情も。
桐谷くんのこと全部、知りたいんだって。