【完】クールな君に胸キュン中!
「俺はただ、目立ちたいだけだから」
「…………」
「でもあいつは違う。 左耳にしかつけてないんだ、ピアス」
……うん。
桐谷くんがただ目立つためにピアスをつけるのなら、もっとたくさんつけててもいいはず。
あのピアスは、片耳にしかついていなかった。
しかも、誰にもバレないようわざわざ横髪で隠していたように思える。
……なぜなのかは、全く検討もつかないけど。
「奈乃ちゃんには特別に教えてあげる。
あいつを助けるには生半可な気持ちじゃ無理だよ」
「……え?」
「あいつには、忘れられない奴がいる」
「…………」
桐谷くんは前にあたしに言った。
好きな人がいるっていうのはウソだって。
だけどもこうは、言っていない。
俺には忘れられない人がいる。
……そうか。
その人がきっと、君を変えてしまった特別な人。