【完】クールな君に胸キュン中!
「待てよ、桐谷」
放心状態になりかけてたあたしは、松岡くんの呼び止める言葉でハッとする。
その言葉で立ち止まった桐谷くんは、こちらに振り返らないまま、
「何?」
ぽつりとそうつぶやく。
「お前、もう逃げんなよ。俺達からも……バスケからも。
球技大会やれよ、バスケ」
松岡くんの咎めるような、だけどなだめるような、複雑な声。
あたしは意味がわからず、松岡くんの言葉だけに耳を傾けていた。
「意味がわからない」
「とぼけるな。 あの頃からずっととどまったままで、お前、何一つ変わってないじゃないか。
……それでいいのかよ!?」
少しの間のあとだった。
「……お前に何がわかる」
低く、怒りを含む桐谷くんの声。
そしてあの……悲しそうな表情が、見えなくても脳裏に浮かんだ。