【完】クールな君に胸キュン中!
「もう一度、あいつにバスケやってほしい」
そこに執着する理由も、桐谷くんを気にかける理由も、きっと何かワケがあるのだろう。
……もし、桐谷くんがもう一度バスケできたら、あの悲しい顔をする理由から救えるの?
……踏み込む?
でもいいの?それはもしかしたら、桐谷くんを傷つけるだけの結果になるかもしれないのに。
でも……このまま動かなかければ、桐谷くんは変わらないまま。
「松岡くん。あたし、踏み込んでもいいのかな?」
「えっ……?」
「今まで散々、図々しく振るまってきたけど、桐谷くんの過去にあたしが踏み込むことは、迷惑かな……?」
「…………」
松岡くんは、無言のままあたしを見つめる。そして。
「迷惑かなって……それ理由にして逃げてるのは奈乃ちゃんじゃない?
自分が相手の領域に踏み込むことで、嫌われるかもしれないって怖いんじゃないの?」