【完】クールな君に胸キュン中!
「お前、去年の球技大会にバスケ出てなかったよな? せっかく勝負して負かしてやろうと思ったのに、何やってたんだよ?」
「……お前に関係ない」
「はっ、冷てーなぁ。もと同じ部活仲間だったじゃねぇか」
「…………」
無言のまま桐谷くんは、その人を睨んでるような。
離れてるここから見てても、険悪な雰囲気が伝わってくる。
男子生徒の高圧的な態度に、嫌な感じがした。
「まぁいい。今年はバスケ出ろよ。中学のとき、ちょっとうまいからって調子に乗ってたお前を見返してやる。
途中でやめやがって……まぁ、〝あんなこと〟があったんじゃ、仕方ねぇけど」
……〝あんなこと〟?
その単語に、桐谷くんはピクッと反応した。
それは、彼には禁忌なキーワードなのかもしれない。
……苦しくて、悲しくて、辛い過去なのかもしれない。