【完】クールな君に胸キュン中!
男のプライド
「奈乃ちゃん、あんまり自分を責めないでね」
ボーッと桐谷くんの寝顔を見つめていたあたしは、松岡くんの声でハッと我に返った。
「あっ、ごめんね。ありがとう……」
先ほどの出来事が衝撃すぎて、まだ少し上の空ではあるけど、しっかりと意識を保つ。
今はあたしがしっかりしないと……。
桐谷くんが目を覚ましたとき、そばに居てあげたい。
それだけがあたしの望みだ。
「大事に至らなくてよかったわ。打ちどころが悪かったらどうなってたか……」
あたし達の後ろで、保健室の先生がぽつりとつぶやく。
あれからあたしは、松岡くんと一緒に桐谷くんを保健室まで運び込み、体育の授業を早退してベッドに寄り添っていた。