【完】クールな君に胸キュン中!
あたしだけ……?
平凡で、何の取り柄もないあたしにも、桐谷くんを救うことはできるの……?
「……ん……」
桐谷くんが、顔を歪めて苦しそうにうなされている。
「桐谷くん……」
今にも消え入りそうなか細い呼吸に、あたしの不安は高まるばかり。
震える手を温めるように、あたしはそっとその手に触れてみた。
すると桐谷くんの手は、しがみつくような勢いであたしの手をギュッと握りしめてきた。
ドキッ。
そんな状況ではないとわかっていながらも、いきなりの出来事に胸が反応する。
……冷たい手。
冷え切っている手は、あたしの手を離そうとはしない。
まるで、行かないでって訴えてるみたい。
「桐谷くん、あたしはいるよ」