【完】クールな君に胸キュン中!
「桐谷くん、大丈夫?」
少し体の力が抜け、落ち着いてきたところであたしはもう一度声をかけた。
「大丈夫。……!」
冷静を保とうとしたまま顔をしかめた桐谷くんは、自分の手元を見やって息を飲んだ。
ようやくあたしの手を握っていたことに気づいたみたいだ。
一瞬にして、手が離れる。
「……手、俺から握った?」
おそるおそる、少し恥ずかしそうにそう聞いてくる桐谷くん。
あたしは小さく頷いた。
「……最悪……」
自己嫌悪のようなため息と共に、桐谷くんの口からそんな言葉が漏れる。
あたしは、冷や汗をたくさんかいている桐谷くんの額を拭こうと、ポケットからハンカチを取り出した。