【完】クールな君に胸キュン中!
「……はぁ……」
笑いがおさまった桐谷くんは、落ち着くように深呼吸した。
そして顔を上げて、あたしを見つめる。
「……あんたってホント、変な人だよね」
先ほどの冷たい眼差しとは、打って変わって優しい瞳だった。
「俺を好きとか……どんだけ趣味悪いんだよ」
桐谷くんは、自分の手を握りしめているあたしの手を見つめる。
すると、もう片方の手であたしの手を開くと、あたしの手の甲に自分の手を重ねて、そのままスッと自分の左頬に当てた。
「!!」
……何?
桐谷くんの体温が、手のひら全体からジワジワと伝わってくる。
心なしか、その温度は高いように思えた。
いや、熱いのはあたしの方なのかも。
だって、手のひらには桐谷くんの頬。手の甲には桐谷くんの手のひらが重なっている。
ドキドキしないはずがない。