【完】クールな君に胸キュン中!
「いいよ。教える」
左頬に触れてる手は、桐谷くんの手が動かすことによって、こめかみ……耳へと徐々に移動する。
サラサラとした横髪がはらわれると、青いピアスのはめてある左の耳たぶがあらわになった。
「聞きたいんだろ?俺のこと」
踏み込むことを、許されたんだ。
怯むな。大丈夫だ。あたしはどんな桐谷くんでも受け入れられる。
かつてあたしが救われたように、今度はあたしが救う番だ。
いや、まぁあたしがそんな救うとか、日曜朝一のテレビ番組のヒーローみたいなミラクルを起こせるとは思えないけど。
それでも、こうやって何もない脳みそでぐだぐだ考えることよりも、当たって砕けるくらいの勢いで行動した方が。
その方が、きっと。
桐谷くんを守れると思うし、何よりあたしらしいと思うんだ。