【完】クールな君に胸キュン中!
「桐谷くん、あのね」
「うん」
あたしが聞く内容を予測できたんだろう。桐谷くんの瞳にまつげの影が落ちる。
「あのね、傷つけたらちゃんと謝るから。何百回でも謝るから。土下座でも反省文でもなんでもするから。桐谷くんのお願いなんでも聞くから。だから教えて欲しいんだ」
「うん。何?」
優しい声色は、まるであたしに気を使ってくれてるみたい。
「さっき体育館で話していた男子生徒って、桐谷くんの中学のときの同級生だよね?」
桐谷くんの表情が、ほんの少しだけ曇る。
その微妙な変化は、きっとこの空間にいるあたしにしか気付けなかっただろう。
それくらいに桐谷くんは、平静を装おうと耐えているんだ。