【完】クールな君に胸キュン中!
「あたし、松岡くんと用があるので……」
「わ、わかってる。そんなこと」
と言いながらも、桐谷くんはあたしの手を離してはくれない。
しばし無言の状態が続く。
……これはどういう状況だ……!?
「……奈乃ちゃん、俺は玄関で待ってるね」
「えっ、あっ、うん!」
何かを見透かしたような笑みを浮かべて、そう言った松岡くんは先に行ってしまった。
あたしはさっきから桐谷くんに見つめられてて、ドキドキしすぎてどうにかなりそうだ。
いつもと違って、まるで何かを訴えかけてるような瞳。
「あんた……松岡と帰るの?」
「え? ……うん」
嘘をつく理由もないので、あたしは素直にコクリと頷く。
「なんで?」