【完】クールな君に胸キュン中!
なんで?、ときた。
いやいや、松岡くんと用があるからって、さっき言ったはずだけど……。
「ちょっと、言えない私情で……」
「……ふーん、そ。わかった」
どこか納得のいってないような口ぶりで、桐谷くんはあたしの手を離した。
「……ごめん、引き止めて」
どうしてだろう。
桐谷くんが、拗ねてるようにしか見えない。
まるで小さな子供みたいに、いじけてるような……。
気のせいかな?
「じゃあね」
目を伏せながら、桐谷くんはあたしより先に教室を出て行ってしまった。
あたしはひとり、そこに取り残されながらぼんやりとしていることしかできなかった。