【完】クールな君に胸キュン中!
球技大会、当日。
俺は結局、今年も球技大会は出ないことにした。
体育館では、やる気に満ち溢れた生徒たちがコートでそれぞれに事前に練習をしていたり、喋ったりしてるやつもいる。
俺は無関係だし、保健室に行くとするか。
「え、奈乃まだ来てないの?」
「……そうなんだよ。実行委員なのに」
ふと、中野と市原が話してる言葉が耳に入った。
……え? あいつ、来てないのか?
俺はあたりを見渡してみる。
……松岡は、いるな。
実行委員の仕事をしてるんだろう、バレーのネットをはるのを手伝っている。
松岡は、折原奈乃のことを知ってるんだろうか。
聞いてみるか……?
いや、わざわざ聞かなくても、あいつのことだ。どうせ風邪をひいたとか、寝坊しとかその程度のことだろう。
ああ、また俺は、知らず知らずのうちに彼女のことを気にしている。