【完】クールな君に胸キュン中!
好き
【折原奈乃side】
――ビーッ!!
試合再会のブザーが鳴り響く。
ケガをしたイッチーと交代に、桐谷くんがコートの中へ入っていく姿を見送った。
あたしはイッチーに声をかける。
「イッチー、ケガは大丈夫?」
「折原。今は俺の心配をしてる場合じゃないだろ?ちゃんとあいつのこと、見ててやれ」
そう言って、赤く腫れてる足に包帯を巻かれているイッチーはコート内の桐谷くんを指差した。
「お前が応援しなくて、どうするんだよ」
……イッチー。
そうだね。今は、桐谷くんから目を逸らしちゃダメだ。
あたしはイッチーに、強く頷く。
「市原くんのことなら、私と保健委員の子で手当てするから大丈夫。
なんで遅れたかとか、今まで何してたのかとか、聞きたいことが山ほどあるからあとで覚えといてね」
イッチーの手当ての手伝いをしていた舞ちゃんに、ギロリと睨まれた。
「は、はーい……」
どうやら、心配かけちゃったみたい。