【完】クールな君に胸キュン中!
「今日はもう話さなくていいの?」
「うん。全然平気!」
向かいにいる舞ちゃんに、ニッと笑いかける。
だけど舞ちゃんは、チラッとあたしの背後を見てつぶやいた。
「そう。でも、そう思ってるのは奈乃だけみたいだけど?」
「え?」
なにごとかと思い、あたしは舞ちゃんの視線につられて振り返る。
と、そこにはさっきまでイッチー達に絡まれていた桐谷くんがいた。
どうやらイッチー達のとこから抜けて来たみたい。
「桐谷くん!どうしたの?」
「いや、どうしたのじゃないから」
「え?」
「帰るよ。ほら」
そう言って、突然にもあたしの手を取る。
ドキリとした。
桐谷くんがまさか、こんなクラスのみんながまだいる教室で堂々と手を握ってくるとは思わなかった。