【完】クールな君に胸キュン中!
って違う違う。
とりあえずあたしの存在に気づいてもらえたんだから何か話さなくちゃ!
「ねぇ桐谷く……、あれ?」
呼びかけようともう一度顔をあげたのに、彼はもうあたしに背を向け歩き出してしまっていた。
オォォーマイゴッド!!!
あたしとしたことが、桐谷くんに見惚れて桐谷くんにアピールするチャンスを逃しちゃうなんて。
なんたる失態……っ!
奈乃、一生の不覚……っ!
……仕方ないか、と思い、座ってた椅子にもたれかかる。
桐谷くんの真似をして、ふぅっと一息ついてみた。
「よし、日誌終わらせちゃおう」
独り言を自分に言い聞かせるようにつぶやき、シャーペンを再び動かし始める。