【完】クールな君に胸キュン中!
自分の言った言葉が恥ずかしかったのか、桐谷くんは照れ隠しをするように、あたしの顔を自分の胸へと引き寄せた。
再びコテンと、今度は彼の胸板に頭を預ける体勢になる。
……あ、桐谷くんの鼓動……。
トクトクと伝わってくるその音が、とても心地よくて……あたしはそっと目を閉じた。
もしこのまま眠ってしまって……次に目が覚めた時に、DVDを見終わったみんなに茶化されてしまうんだろうなと思いながら……それでもいいかと、あたしはそっと意識を手放しかけていた。
「……もしかして、寝るの?」
「……うう……ん」
弱々しくも、首を横に振って否定をする。
「……いいよ、眠っても」
だけど桐谷くんの優しいおだやかな声が、あたしの頭を何も考えさせないようにしてしまった。
……ズルいなぁ……。
夢とうつつの間。
彼の言葉に魔法にかけられたかのように、あたしは静かに眠りについた。